持続可能な社会の実現に貢献する株式会社高知丸高

日本国内はもとより、海外でも基礎工事や橋梁工事など土木工事の分野で活躍を続けている株式会社高知丸高。特に災害からの復旧には、高知丸高の基礎工事や橋梁工事がその力を発揮します。東日本大震災や熊本地震の復興工事での活躍、2018年7月に西日本を襲った記録的な豪雨では、高知自動車道上り線にある立川橋が崩落。高知丸高はこの復旧にも力を発揮しました。また、防災製品の開発にも熱心に取り組み、津波避難シェルター「まんぼう」は、13年前に開発し、毎年改良・改善を繰り返し性能向上してきました。

そんな高知丸高の取材で対応してくれたのは、営業管理部防災・技術・広報課に所属する台湾出身の陳莉婷(チン リテイ)さんと、インドネシア出身のエマリアさん。日本語もバッチリで高知丸高のSDGsの取り組みに答えてくれました。

 

【左:エマリアさん 右:陳 莉婷さん】

【左:エマリアさん 右:陳 莉婷さん】

 

SDGsの取り組みを始めたきっかけ

高知丸高がSDGsに本格的な取り組みを始めたのは、今から3年ほど前。現在、顧問になっている京都大学大学院工学研究科の木村亮(まこと)教授から、「国もSDGsに取り組んでいて、SDGsや17の目標のマークも自由に使える。毎月発行している情報誌の中で、関わっている防災工事などの情報とともに、このマークを使っていけばプラスアルファになるんじゃないか」と言われ、そこから少しずつSDGsの取り組みはつながっていきました。

陳さんは「最初はそこまで意識していなかったけど、私たちの行う防災工事はSDGsの目標の11番“住み続けられるまちづくりを”につながっています。また、杭打機は海や川に打ち込むときに生態系が壊れてしまうイメージがありますが、弊社が改良した杭打機は低振動・低騒音で環境面にも配慮した工事ができます。工事中はあまり振動が出ず、杭を入れても回りの魚は逃げずに普通に泳いでいました。これは目標の14番“海の豊かさを守ろう”や15番“陸の豊かさも守ろう”についながる環境に優しい工法です」と話します。

高知県では「第4期高知県産業振興計画ver.2」の重点ポイントの1つとして「持続可能な地域社会づくりに向け、脱炭素化・SDGsを目指した取り組み」を促進するために、「こうちSDGs推進企業」の登録制度を新設。高知丸高もこの制度への登録も目指しています。

 

【熊本地震俵山大橋復旧工事】

【熊本地震俵山大橋復旧工事】

 

海外や外国人に対する社会貢献も

1番“貧困をなくそう”や4番“質の高い教育をみんなに”を実施しているのは、ミャンマーのアマラワディ僧院に高等学校を寄付したことです。現地には200〜300人の子どもがいて、小学生・中学生の子どもはお寺で勉強をしているのですが、高校がないということで、何とか力になれることはと考え、㈱第一コンサルタンツ様と合同で学校を寄贈しました。「私も実際に現地に見に行きました。とても狭い空間に子どもが詰め込まれて勉強しています。環境もよくないし、子どもたちに勉強をする意欲があったとしても、お金がなくて進学できない状況です」と陳さん。高知丸高では社会貢献にも力を入れ、高校の中で日本語や日本文化、そして高知丸高の技術なども教え、人材を育てていく計画もありますが、現在はコロナ禍と現地のクーデターで残念ながら何も始まっていない状況だそうです。

高知丸高では現在まで毎年、中国から技能実習生を受け入れています。これまで約100人以上の技能実習生を育ててきて、今も20〜30人が学んでいます。「ここで学んだことを、それぞれの地域に戻って生かしてくれれば、これまでより良い仕事に就けて、いい暮らしができる。将来的に、もし高知丸高が中国や海外で工事をするときにも力になってくれるでしょうし、外国人でも日本人でも働ける8番“働きがいも経済成長も”が実現できる環境をつくらなければいけません」と陳さん。

 

【ミャンマー・アマラワディ僧院高校】

【ミャンマー・アマラワディ僧院高校】

 

新しい技術やパートナーシップを次代に

最近、大雨が降れば川が氾濫して全国のいろんな所で災害が発生しています。高知県にも浚渫しなければいけない河川がすごく多く、土砂が溜まればすぐに氾濫するので、定期的に土砂を取り除く必要があります。「そのようなときに、すぐに河川に行けるようにICT技術を活用した水陸両用の機械を開発し、浚渫にも力を入れて安心して暮らせるまちづくりに協力していきたいと考えています。また、先ほど話しした杭打機では、動力源を変えて、CO₂をゼロにする開発も進めています」と、9番“産業と技術革新の基盤をつくろう”や13番“気候変動に具体的な対策を”にも取り組んでいます、と陳さん。

「パートナーシップの関係も国内にいろいろないい関係をつくって仕事をさせていただいていますが、海外でもそういったパートナーシップがすごく大事です。ミャンマーの学校でも現地のパートナーがいるからこそうまくいけています」とエマリアさん。17番“パートナーシップで目標を達成しよう”が実現されている。

最後に、高知県での就職やものづくり企業を志す学生に向けて、エマリアさんは「高知丸高に入り、久万川の浚渫工事をするときに現場で写真も取りましたが。その時にバックホー(ショベルカー)を見て、私も運転できるんじゃないかなと思いました。だから免許を取ってチャレンジしてみたい。ここの仕事には女子も男子も関係ありません」と言い、陳さんは「専門に学んでいなかったり、未経験の人は建設業に就職して、やっていけるかどうか不安になりますよね。でも、ゼロからスタートしても、丁寧に教えてくれますし、一緒に働くメンバーが仲良く仕事をしていける環境を作ってくれています」と笑顔で答えてくれました。

 

【組立式台船災害復旧工事(高知県)】

【組立式台船災害復旧工事(高知県)】

 

企業情報

創業1965(昭和40)年7月1日
設立1967(昭和42)年9月11日
資本金2,000万円
従業員数98人
事業内容特殊基礎工事(大口径岩盤削孔、土留・抑止杭、橋梁基礎工事、井戸掘工事等)、橋梁・鋼鉄造物や建設機械の設計、構造計算、製作施工、一般土木、機械器具設置工事 等