高い技術力を高知から発信する株式会社コアテック

高知を拠点にして高性能空気清浄機や次亜塩素酸水生成装置、そして魚や野菜などの鮮度を保つスラリーアイス生成装置などの製造から販売まで行う株式会社コアテック。平成19年の創業当時は空気清浄機をメインに販売していましたが、ホコリだけでなく細菌やウイルスそして脱臭にも優れていることから、高知県の「ものづくり」商品として採用されました。また、それ以前平成14年に厚生労働省から次亜塩素酸水が食品添加物として認可されたことから、空気清浄機と並行して次亜塩素酸水生成装置の開発と販売に力を入れ、昨年、新型コロナウイルス感染症にも有効な手段として、次亜塩素酸水生成装置を更にバージョンアップ。この水で洗えば、99%以上のコロナウイルスが不活化することが、厚生労働省、経済産業省、消費者庁などの研究によって認められました。

商品開発や、新しい販路として関西圏をターゲットにする取り組みについて、株式会社コアテックの代表取締役 桒嶋勇(くわしまいさむ)さんと、営業部部長半田淳一さんにお話いただきました。

 

【左:半田淳一さん 右:桒嶋勇さん】

【左:半田淳一さん 右:桒嶋勇さん】

 

コロナ禍で本当の真価が分かる

「以前は病院や施設に行っても、“そんな訳の分からないものは使えない”と門前払いされていましたが、コロナウイルスの除菌に次亜塩素酸水が非常に有効であることが分かってきて、お客様の方から“いつ売ってもらえるのですか?”と問い合わせがあるほどで、立場は逆転していますね」と桒嶋社長。

この次亜塩素酸水生成装置とともに、現在、注目を集めているのが高知工科大学と共同開発したスラリーアイス生成装置です。平成30年度高知県産学官連携事業化支援事業にもなっており「第10回ものづくり総合技術展では工科大学が建物の中でパネル展示を行い、われわれは機械を屋外展示します。この週は東京ビッグサイトでの展示会にも出展していて、装置搬入予定日の夕方に東京から高知に帰ってきて搬入させていただきます」と、桒嶋社長は期待の商品に大忙しとなりそうです。

 

【次亜塩素酸水生成装置】

【次亜塩素酸水生成装置「コア・クリーン20C」】

 

コールドチェーンに威力を発揮する氷

スラリーアイスは非常に細かい、シャーベットのような氷で、水は次亜塩素酸水を使います。全体を覆い、むらなく急速に冷却し、粒子が細かいために鮮魚などの表面を傷つけることもありません。また、次亜塩素酸水を使用することで、腐らせず、臭いを抑えることができます。桒嶋社長は「たまたま高知工科大学の方々でスラリーアイスを研究していて、私どもでは次亜塩素酸水をやっていたので、何とか複合できないだろうか“一緒にやりましょう”と共同で開発を始め、5年がかりで商品化できました」と、その苦労を教えてくれました。現在、南国市に新しい工場が見つかり、そこでの生産が始まっています。

このスラリーアイスは養殖業者が「試作品でいいから欲しい」と最初に興味をもってくれました。また、農協でもブロッコリーや菜の花など、収穫してすぐに冷やし、輸送しながらも冷やすコールドチェーンに威力があったと報告があったそうです。

空気清浄機も今はどこも禁煙となりその需要は減少気味で、また、「コロナが落ち着くとこの商品も終わりだね」という販売代理店の方もいらっしゃいましたが、桒嶋社長は「絶対そんなことはない」と断言したそうです。ウイルスや臭いを取る研究の結果、高圧電気集塵の集塵ユニットにより空気中の0.01ミクロン程の微細な細菌までも集塵し除去。そこへ紫外線を照射し、細菌やウイルスを殺菌・不活化します。さらに光触媒フィルターにより抗菌・脱臭機能を長時間維持します。いまだ増産の状態です。

 

【高知工科大学と共同研究した、スラリーアイス「フレッシュ・スノー」】

【高知工科大学と共同研究した、スラリーアイス「フレッシュ・スノー」】

 

創業当時からの夢、関西への進出を

そんなコアテックが創業当時から考えていたのが関西圏への進出です。コアテックは東京に支店(ショールーム)を持ち、商品の販売、メンテナンスサービスを行っています。これは、桒嶋社長の「メーカーである限りは製造者責任があり、代理店が販売した商品にも製造責任がある」と考え、北海道から沖縄まで、お客様と相談しながらメンテナンスサービスを行っています。この拠点が現在は本社のある高知と、東京にしかありません。そこで考えているのが関西圏への支店の進出です。

現在、売り上げの80%は東京に集中しています。しかし、それは東京に本社がある商社や代理店が多いからです。たとえ、納品先が大阪や広島でも、東京の売り上げになっています。「東京の売り上げのうち、4割を関西圏の支店で担い、関西圏のメンテナンスサービスもそこでしっかりとやっていくようにしたい」と桒嶋社長。さらに「関西圏の次は名古屋を中心とした中部、さらに福岡など九州と計画を立て、チャンスがあれば支店を増やしていきたい」との夢を語ります。

 

【関西での業務拡大に向け、展示会に出展した様子。】

【関西での業務拡大に向け、展示会に出展した様子。】

 

学生たちへのメッセージとして桒嶋社長は「大企業だと決められた仕事しかできない。われわれ中小企業はやりたいと思ったことは何でもできます。給料も大企業とそんなに変わりません。高校生や、大学を出た方でも、研究や生産に携わってくれる方が、地元でいてくれると大変助かります」と、新たな人材が高知県、そしてコアテックで活躍してくれることを期待しています。

企業情報

創業2007(平成19)年3月1日
設立2007(平成19)年2月14日
資本金1,500万円
従業員数26人
事業内容空気清浄機、電解水生成装置、医療用電気機械器具、その他電子電気機械器具 等の研究開発・製造及び販売